FX初心者向け!アメリカ雇用統計の見方や為替の動きを徹底解説!

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FX初心者向け!雇用統計を徹底解説!

この記事ではFX初心者向けにアメリカ(米国)の雇用統計の見方や為替への影響を分かりやすく解説。米国雇用統計は数ある経済指標の中で最も注目を集める経済指標です。

ここではアメリカの雇用統計の概要や種類、発表後の為替の動きまで詳しく解説しています。FXをする上で非常に重要な経済指標なのでFX初心者はしっかりと理解しておきましょう。

雇用統計とは?

雇用統計とは?

雇用統計とは、各国の政府が発表している雇用状況を示す統計データです。雇用状況は景気動向を図るための先行指標の1つとされており、FXでは特に米国雇用統計(アメリカ)が注目されています。

米国雇用統計はアメリカ労働省労働統計局が発表しており全米約16万の民間企業と政府機関を対象とし、40万件近いサンプルから統計データを算出しています。

米国雇用統計では、失業率や非農業部門就業者数、週平均労働時間や平均時給など10数項目が発表されます。発表時刻は毎月第1金曜日、日本時間では21:30(夏時間)、22:30(冬時間)です。

雇用統計は各国が発表していますが、FXにおいてはアメリカが最重要視されます。次点でイギリスやオーストラリアの雇用統計もチェックされます。ここでは、最も注目されるアメリカの雇用統計について詳しく解説していきます。

なぜアメリカの雇用統計が注目されるのか

外国為替市場ではアメリカの通貨(USD:米ドル)は「基軸通貨」と呼ばれています。FXの通貨ペアは基軸通貨の米ドルを介して取引が行われており、米ドルを中心としてレートが決まっています。

取引量に関しても全世界の為替売買のうち、約4割が米ドル相手の取引です。したがって、基軸通貨の発行元であるアメリカの景気状況は為替に大きな影響を与えます。

そのアメリカの景気を探るために全世界のFXトレーダーは米国雇用統計を最重要視しているわけですね。基軸通貨と通貨毎の特徴に関しては別記事にて詳しく解説しているので気になる方はチェックしてみてください。

雇用統計は政策金利の決定に影響を与える

各国の政府は景気をコントロールするために自国に流通するお金の量を調整しています。この調整の役割を果たすのが政策金利です。

政策金利とは

政策金利とは各国の中央銀行が民間銀行に資金を貸し出す際の金利のことです。

政策金利が高く設定されると、民間銀行が中央銀行から資金を借りるコストが高くなります。コストが上がった分、民間銀行の一般企業に対する融資や住宅ローンの金利が上がるため、企業・個人の経済活動が抑制されます。その結果、景気の過熱を抑える効果があります。

逆に低く設定されると、民間銀行が中央銀行からお金を借りやすくなるため一般企業や個人がお金を調達しやすくなります。国全体にお金が回り景気を回復させる効果が生まれます。

日本は景気を回復させるために、政策金利をほぼゼロにするゼロ金利政策が行われています。アメリカではFRB(連邦制度準備理事会)が政策金利を決定しており、FRBの利上げ・利下げ発表には全世界のトレーダーが注目しています。

この政策金利を決定するためには「自国の景気は今、どういう状況にあるのか」という分析が必要不可欠。その分析に重要なのが雇用統計です。

雇用統計と政策金利の関係性

為替は中長期的にみれば中央銀行が行っている金融政策の方向性に向かって動きます。中央銀行が現在の景気状況を判断して利上げするのか、利下げするのか。この判断は今後の為替相場の方向性を決める重要な判断です。

この金融政策を決定する際に自国の雇用状況を示した雇用統計が重要な資料となります。基本的に景気は好況、後退、不況、回復を繰り返しながら少しずつ経済が成長していきます。自国の景気状況がどのフェーズにあるのかを判断するために雇用統計が使われるということです。

インフレーション

基本的に失業者が少なく、雇用者数が順調に増加していれば景気が良いと判断されます。景気が良くなれば収入は増加し、企業は設備投資を積極的に行うため消費と投資が増えます。

その結果、お金に対する需要が高くなるため金利が上がり、物価も高くなります(インフレ)。もっとも、インフレが行き過ぎると収入が増える速度以上に物価が先に上がります。

これを防ぐために中央銀行は政策金利を上げて景気が加熱するのを抑えます。これが政策金利の利上げ(金融引き締め)です。

デフレーション

一方、失業者が多く民間や政府機関の雇用者数が少なくなれば景気が悪いと判断されます。企業は設備投資と採用を控え、従業員の給与を抑えます。

その結果、お金に対する需要は下がり金利が低下、物価も下がります(デフレ)。デフレが行き過ぎると物価が下がりモノが売れなくなります。企業の業績は下がり給与も減少、雇用は不安定になります。

これを防ぐために中央銀行は金利を引き下げて、市場に出回るお金を増やし景気が回復するように刺激します。これが政策金利の利下げ(金融緩和)です。

この政策金利を決定するために、自国の失業率や民間企業の就業者数を計測した雇用統計が注目されるというわけです。

アメリカの雇用統計が為替に与える影響

雇用統計の数字が良い場合

雇用統計でアメリカの景気が良い(雇用市場全体が活性化している)と判断されると、景気の過熱を抑えるためFRBが利上げする可能性が高くなります。

相場は景気の過熱を抑えて順調に推移するだろうという予測から米ドルが買われ円が売られるので円安(ドル円が上昇)の流れになります。

雇用統計の数字が悪い場合

逆に、雇用統計で米国の景気が悪い(雇用市場が停滞している)と判断されると、FRBが利下げをする可能性が高くなります。

相場は不況・後退のフェーズに入ったと判断されて米ドルが売られ円が買われるので円高(ドル円が下落)の流れになります。

もっとも、実際の相場はもっと複雑な要因で動いています。あくまでも1つの要因として上記のような流れがあるという点には注意しましょう。

 

米国雇用統計発表時はボラティリティに注意!

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2020年2月7日(金曜日)に発表された米国雇用統計では、景気向上を示すデータと景気後退を示すデータの両方が出たことから米ドルは一時、最高値110円から最安値109円75銭まで瞬間的に大きく振れました。普段は緩やかな値動きの米ドル円でも指標発表時はボラティリティが大きくなるので注意が必要です。

 

米国雇用統計発表後の為替の動き

雇用統計はアナリストによる事前予想値が発表されます。雇用統計を見る際は予想の数値と実際の結果の差に注目することがポイント。

為替相場のレートは「現時点で想定されるすべての事象を織り込んだ価格」と認識されており、雇用統計に関しても事前予想を織り込んだ価格が現在のレートになります。したがって、事前の予想に対して実際の結果がどうだったのかという差で為替が動きます。

雇用統計の予想と発表後の為替の反応
■予想より良い⇒ドル買い円売りでドル円は上昇

■予想より悪い⇒ドル売り円買いでドル円は下落

■予想通り⇒既存ポジションに決済が入る

予想よりも結果が良かった場合、ドルが買われて円安に動きます。悪かった場合はドルが売られて円高に動きます。

予想と結果がほぼ同じだった場合、判断材料が出尽くしたとみなされて既存のポジションに決済注文が入ります。それでまでのポジションで買いの人が多数であればドル円は下落、売りが多数であれば上昇します。

既存のポジションが買いと売りのどちらに偏っているのかは各FX会社が発表している売買比率や注文比率を確認すればある程度把握することが可能です。

また、ヘッジファンドの投機筋が保有しているポジション量(IMM通貨先物ポジション)も要チェック。IMM通貨先物ポジションでは機関投資家の注文が売りと買いのどちらに多く入っているのかを知ることができます。

もっとも、FX初心者がいきなり米国雇用統計の指標結果をみてポジションを持つことはオススメできません。あくまでも上記の動きは1つの要因でしかないからです。

実際の為替相場はその他にも多くの要因が影響してレートが動きます。初心者の方はこういった動きがあるということを理解しておくことが大切です。

米国雇用統計の種類

米国雇用統計は一般家庭向けの民間調査(Household data)と事業者向けの事業所調査(Establishment data)の2種類があります。

失業率や労働参加率などは民間調査分に、民間企業の雇用者数や平均時給、平均労働時間は事業者向け調査分に分類されます。

詳細な項目を含めると米国雇用統計は膨大な統計データになるので、すべてをチェックする必要はありません。ここでは、米国雇用統計の中でも最重要視されている失業率と非農業部門雇用者数について解説します。

失業率

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失業率は「働く気がある人の中で失業状態の人の割合」をさします。米国雇用統計では失業者の定義に応じてU-1からU-6まで分けられており、U-6が最も広い定義の失業率になります。

この中で一般的に失業者の指標として活用されるのはU-3です。為替相場の分析の指標として使われているのもU-3の失業率になります。

基本的に失業率が高ければ雇用市場が停滞していると判断され景気減速の可能性があり、失業率が低ければ雇用が活性化しており景気向上の可能性があるとされます。

より詳しく雇用状況を把握するのであれば労働参加率もチェックするとよいでしょう。労働参加率とは、求人がなく職探しを諦めてしまった人の割合です。

失業率が低くても労働参加率も同じように下がっていれば、仕事はしたいが求人がなく諦めている人が増えている可能性があります。景気向上に陰りが見えている可能性もあるので注意が必要です。

非農業部門雇用者数

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非農業部門雇用者数は農業従事者を除いた民間企業と政府機関の雇用者数の統計データです。

基本的に雇用者数は増えていれば景気状況が良いとされ、減っていれば景気が悪いと判断されます。ただし、政府機関の雇用者数は国政調査などの一時的な増加の場合もあるので注意が必要です。

また、民間部門に関してもどの業種で雇用者数が増えているのか、逆に減っている業種はあるのかをチェックするとどの業界の景気が良いのかを判断する材料になります。

その他

米国雇用統計はその他にも10数項目にわたって詳細な雇用状況のデータが開示されています。性別・年齢・人種別の雇用状況や産業部門別の雇用者数、女性の雇用状況なども確認可能です。

FXをする際にはこれらのデータまで把握する必要はありませんが、アメリカの雇用状況を正確に理解するには有用なデータになります。勉強すればよりアメリカの景気動向について詳しく把握することができます。

米国雇用統計の確認方法

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米国の雇用統計はアメリカ労働省のWebサイトから確認ができます。

■確認方法
メニューの「Economic Releases」から「EMPLOYMENT & UNEMPLOYMENT」をクリック⇒「Monthly」の項目で「Employment Situation」横の「HTML」をクリック

TableA-1~A-16が家計調査分、TableB-1~B-9が事業所調査分の統計データです。失業率はA-15、非農業部門雇用者数はB-1なので生の統計データを見たい人はチェックしてみてくださいね。

もっとも、概要だけでいいという方はFX会社が発表している雇用統計のデータでも十分活用できます。別記事にてスマホアプリで指標発表を教えてくれるFX会社を比較しています。

FX初心者は雇用統計を勉強してFXの理解を深めよう!

ここまでアメリカの雇用統計について解説してきましたが、いかがでしょうか。米国雇用統計は世界中のFXトレーダーが注目しており、予想と結果が大きく違った場合、レートが大きく動きます。数多くある経済指標の中でもアメリカの雇用統計は最も重要視されているのでFX初心者の方はこの機会にしっかりと理解しておきましょう。